省力化投資補助金、カタログ型と一般型の選び方
人手不足は、多くの中小企業にとって最も切実な経営課題です。募集をかけても応募がない。それなら、今の人数で回る仕組みに変えるしかありません。
この方向の投資を後押しする制度として、省力化投資を対象とした補助制度があります。今日は、そこでよく話題になる「カタログから選ぶ型」と「自社仕様で作る型」の考え方の違いを整理します。なお制度の名称・要件・公募回は年度ごとに変わりますので、申請時は必ず最新の公募要領をご確認ください。
制度を先に選ぶと、判断を誤ります。まず「どの作業の、どれだけの時間を減らしたいか」を決める。制度はその後です。
2つの型の考え方
カタログから選ぶ型は、あらかじめ登録された製品の中から選ぶ方式です。
- 手続きが比較的簡素で、導入までが速い
- 製品が登録済みのため、効果の見積もりがしやすい
- 一方で、選べる製品の範囲に限りがある
自社仕様で作る型は、オーダーメイドの設備やシステムを対象とする方式です。
- 自社の工程に合わせた投資ができる
- 補助の規模が大きくなりやすい
- 一方で、事業計画の作成負担が重く、審査も厳しい
選び方の判断軸
どちらを選ぶかは、次の3点で判断してください。
① 減らしたい作業が、汎用的か固有か
受付、配膳、清掃、検品といった業界共通の作業なら、既製品で対応できる可能性が高い。自社独自の工程なら、オーダーメイドが必要になります。
② 投資規模
数百万円規模で収まるなら簡素な型、数千万円規模の設備投資なら本格的な型、というのが大まかな目安です。
③ 社内の対応力
計画づくりや事後の報告に対応できる人員がいるか。ここを軽く見ると、採択後に苦しみます。
申請前に必ずやる「作業の棚卸し」
どちらの型を選ぶにせよ、先にやるべきことは同じです。今、どの作業に何時間かかっているかを測ること。
- 作業を10〜15個に分解して書き出す
- それぞれに、1日または1週間あたりの所要時間を記入する
- 担当者数をかけて、月間の総時間を出す
この表があると、投資対効果の計算が具体的になります。「○○の作業に月120時間かかっており、導入で40時間に減る」という書き方ができれば、計画書の説得力は段違いです。
よくある失敗
- 導入しても人が減らせない:空いた時間の使い道を決めていなかった
- 現場が使わない:導入を決める過程に、使う人が参加していなかった
- 周辺作業が増えた:機械の準備や後片付けが、想定より手間だった
1つ目は特に重要です。省力化の目的は、人員削減とは限りません。空いた時間を何に使うのか──営業、品質改善、新商品開発。ここを決めておかないと、効果が数字に表れません。
補助金を使わない選択肢も検討する
公募の時期を待つあいだにも、人手不足は進行します。金額が小さい投資であれば、補助金を待たずに実行したほうが早いケースもあります。
設備によっては、リースや税制上の優遇措置を使う選択肢もあります。補助金は手段の一つと位置づけて、比較検討してください。
おわりに
省力化投資は、人手不足への対応であると同時に、働く人の負担を減らす投資でもあります。重いものを持たなくてよくなる、深夜の作業がなくなる。採用にも定着にも効いてきます。
作業の棚卸しからのお手伝いも承っています。