在庫管理をExcelから卒業するタイミングの見極め方
在庫管理をExcelでやっている。中小企業では、まったく珍しいことではありません。むしろ、自社の実態に合わせて作り込まれたExcelは、下手なパッケージより使いやすいこともあります。
ただ、どこかで限界が来ます。今日は、その限界を示すサインと、移行を判断する基準についてお話しします。
Excelが悪いのではありません。Excelに向かない使い方をしているかどうかが問題です。判断基準は、複数人が同時に触るかどうかにあります。
限界を示す5つのサイン
次のうち3つ以上当てはまるなら、そろそろ検討の時期です。
- ファイルが「最新版_確定_2.xlsx」のように増殖している
- 担当者が休むと、誰も在庫数が分からない
- 棚卸しのたびに、帳簿と実地で大きな差異が出る
- ファイルを開くのに時間がかかる、または動作が重い
- 関数やマクロを直せるのが、社内で一人だけ
特に最後の項目は要注意です。属人化した仕組みは、その人が辞めた瞬間に止まります。在庫が見えなくなると、発注も出荷も止まります。
移行を判断する2つの軸
判断は、次の2軸で考えます。
- 同時に触る人数:1人ならExcelで十分。3人以上なら要検討
- 入出庫の頻度:1日数件ならExcel。数十件を超えると厳しくなる
この2軸のどちらかが閾値を超えたら、Excelは「作業の道具」から「トラブルの原因」に変わり始めます。
いきなりシステムを買わない
ここが重要なところです。限界に気づくと、すぐ在庫管理システムの比較検討を始めたくなります。ですが、その前にやるべきことがあります。
今の在庫がなぜ合わないのか、原因を先に特定してください。よくある原因は、システムの問題ではありません。
- 入庫の記録を、後からまとめて入力している
- 現場が、記録せずに材料を持ち出している
- 不良品や返品の処理ルールが決まっていない
- そもそも、置き場所が決まっていない
これらを放置したままシステムを入れると、合わない在庫が、高い費用をかけて合わないままになります。
移行するときの3ステップ
原因を潰したうえで移行するなら、次の順番で進めます。
- ① 現物を整える:置き場所を決め、棚に表示をつけ、実地棚卸しで基準点を作る
- ② 一部から始める:主要な品目や1拠点だけで、3か月試す
- ③ 広げる:運用が回ることを確認してから、全体に展開する
①を飛ばして②に進む会社が多いのですが、現物が整理されていない状態でシステムを入れても、数字は合いません。
費用の考え方
クラウド型の在庫管理サービスは、月額数千円から利用できるものもあります。判断に迷うときは、次の比較をしてみてください。
- 在庫差異の調査や、欠品による特急対応に、月何時間かかっているか
- その時間に、社内の時間単価をかけた金額
この金額がサービス利用料を上回っているなら、投資判断は明確です。設備投資を伴う場合は、省力化や業務改善を対象とする補助制度の活用も検討できます。
おわりに
Excelからの卒業は、ツールの入れ替えではなく業務ルールの整備です。ここを押さえておけば、どのツールを選んでも大きく外しません。
現場を見たうえでの判断が必要でしたら、お声かけください。