業務マニュアルが続かない会社のための「動画3分」運用
業務マニュアルを作ろう、という話は多くの会社で出ます。そして、その多くが途中で止まります。作り始めたものの、量が多すぎて完成しない。完成しても、現場が読まない。読まれないから、更新もされない。
この悪循環を断つ方法として、私がよくご提案しているのが「3分の動画」で作るやり方です。
文書マニュアルが続かないのは、根性が足りないからではありません。作るコストと、使われる頻度が釣り合っていないからです。作り方を変えれば、この構造が変わります。
なぜ動画なのか
理由は3つあります。
- 作るのが速い:手順を実演しながら撮れば、3分の作業は3分で記録できます
- 伝わる情報量が多い:手の動き、力加減、音。文章にしにくい情報がそのまま残ります
- 更新が簡単:やり方が変わったら、撮り直すだけです
特に3つ目が大きい。文書マニュアルの最大の弱点は、更新されずに現実と乖離していくことです。撮り直しなら、5分で終わります。
始め方:まず3本だけ作る
全業務を網羅しようとしないでください。次の基準で、3本だけ選びます。
- 新人が必ず最初に覚える作業
- 間違えると手戻りが大きい作業
- 特定の一人しかできない作業
3本目が特に重要です。属人化している作業は、本人が辞める前に記録に残す必要があります。
撮り方の5つのコツ
- スマホの横向きで撮る:後で見やすくなります
- 3分以内に収める:長い作業は、工程ごとに分割してください
- 手元をアップで:全体像より、手の動きが分かることが大事です
- 喋りながら撮る:「ここで一度止めて、印を確認します」と口に出す
- 失敗例も撮る:「こうなると不良になります」の1カットが、非常に効きます
編集は不要です。作り込むと続きません。撮って出しで十分と割り切ってください。
置き場所を1つに決める
動画が個人のスマホに入ったままでは、マニュアルになりません。会社として置き場所を1か所決めます。
- 社内の共有フォルダやクラウドストレージ
- 限定公開設定にした動画共有サービス
- チャットツールのファイル置き場
どれでも構いませんが、現場のスマホからすぐ見られることが条件です。パソコンを立ち上げないと見られない場所では、使われません。
現場に貼る一手間
もう一段効かせるなら、作業場所に動画へのQRコードを貼っておきます。手が止まったその場で、スマホをかざせば手順が見られる。この導線があると、利用頻度が大きく変わります。
取り組みを続けるための仕掛け
3本作ったら、次は「増やす仕組み」です。おすすめは、新人が入るたびに、教えた内容を1本撮るという運用です。
教える側の負担は変わりません。教えるついでに撮るだけです。それでいて、次の新人からは動画で予習ができます。数年で、実用的なライブラリができあがります。
注意点
- 顧客情報や図面が映り込まないよう、撮影範囲に注意する
- 社外に出ない置き場所を選ぶ(共有リンクの公開範囲を確認)
- 出演する社員には、事前に用途を説明し了解を得る
おわりに
マニュアル整備は、人手不足への対策であると同時に、事業継続の備えでもあります。「あの人しか分からない」を減らすこと。それが、会社の強さになります。
まずは3本、今週撮ってみてください。